ここでは、キャッシュフロー計算書の分析方法を具体例とともにお伝えします。
企業価値評価の基礎知識(1)
フリーキャッシュフローと金利・割引
負債の提供者は、あらかじめ決められた期日に資金が返済される安定性を重視する。そして、決められた期日に資金が返済されない債務不履行などの信用リスクに備えて、リスクフリーレートへの上乗せ分を求めるのである。この上乗せ分がクレジットスプレッドと呼ばれるもので、債務不履行がどれだけの確率で発生するかという倒産確率(PD: Probability of Default)と債務不履行の発生時にどれだけが回収できなくなるかという倒産時損失率(LGD: Loss given Default)によって規定される。
●株主資本の要求リターン
株主資本の要求リターンRE(Return on Equity)は、次のように定義される。
この式は、ファイナンスにおける「資本資産価格モデル(CAPM: Capital Asset Pricing Model)理論」に基づいている。略して「キャップ・エム」と呼ばれ、しばしば難解なものと誤解されるが、その発想は金利と同一である。すなわち、時間を飛び越えることに対する対価(リスクフリーレート)と株式市場全体の変動の大きさをモノサシとして計測されるリスクに対する対価(β×マーケット・リスクプレミアム)で構成されているだけなのである。
すなわち、CAPM理論では、個別株式のリスクの大きさは当該株式の株式時価総額の変動の大きさと株式市場全体を表すマーケット・インデックスの変動の大きさを比較して計測され、図表3-5「CAPM理論によるベータ(β)の定義」の通り、次の回帰分析における「ベータ(β)」の推定値として求められる。
図表3-5 CAPM理論によるベータ(β)の定義
Xは株式市場全体のリスクの観測値であり、マーケット・インデックスの値の日次や週次での変化率であるリターンRM(Return on Market)から、国債の最終利回りであるリスクフリーレートRfを差し引いて求められるリスクプレミアム(RM - Rf)である。
Yは個別株式のリスクの観測値であり、当該株式の株式時価総額の日次や週次での変化率であるリターンRi(Return on individual stock)から国債の最終利回りであるリスクフリーレートRfを差し引いて求められるリスクプレミアム(Ri - Rf)である。
さて、企業は、株主資本と負債によって資金を調達する。したがって、企業の資金調達における投資家からの要求リターンは、これまで見てきた負債の要求リターンRDおよび株主資本の要求リターンREの加重平均値として定義される(図表3-6「加重平均資本コスト」を参照)。これが「加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital)」で、しばしば「WACC(ワック)」と略称される。
キャッシュフロー計算書とは?企業のお金の動きを読めるようになろう!(いろはに講義④)
例えば、損益計算書では黒字なのに営業キャッシュフローがマイナスの場合、「売掛金」が回収できていないという問題があったりする。
売掛金とは代金を受領する権利のことだよ。具体的に言うと、販管費100万円をかけて200万円の売上を上げたとしても、そのうち120万円が売掛金だったら、会計上は利益が出ているけれど実際の現金でみると-20万円の赤字になる。
これが積み重なると、いわゆる黒字倒産に繋がっていくんだ。
損益計算書だけ見たらプラスなのに!
3つの資料を合わせて見ることが大切なんですね・・・
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